遺産相続のBlog

 自筆証書遺言とは、遺言者本人が記した遺言書のことを指し、遺言者一人で成立することから、民法の規定によって厳格な様式を求められており、要件を欠くと無効になってしまいます。いつでも気軽に、自宅にある便箋で手軽に作成できる反面、要件を欠くとせっかくの遺言書が無効になってしまう落とし穴があります。

自筆証書遺言には、次の4つの要件があります。
①遺言者本人が自分自身で全文を書く、②日付を記載する、③署名をする、④捺印する、です。日付と署名、押印は、通常の契約書などに記載する要領でよいのですが、問題は、①遺言者本人が自分自身で全文を書く、です。全文自筆なので、パソコンでの作成も認められていませんし、全文を自筆となると、心理的にも負担がかかるものです。
作成する遺言書が「全財産を妻に相続させる」といったシンプルな内容で、財産を特定する必要がなければよいのですが、相続、遺贈を受ける方が複数にわたる場合は、財産を特定せざるを得ません。財産を特定するには、預貯金なら金融機関、支店、口座番号を、不動産なら、所在や家屋番号、地積等、有価証券なら金融機関、種類、証券番号等を記載しなければならないのですが、従前の方式では、これらもすべて自筆しなければなりませんでした。これが遺言者にとって負担となり、しかも、誤記があれば、相続が開始したのちの執行ができなくなるという問題点も指摘されておりました。

この点において、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律のうち自筆証書遺言の方式の緩和に関する部分が施行され、相続財産の目録を添付するときは,目録については自書しなくてもよいことになりました。自署を要しなくなったことで、パソコンで作成した目録を添付したり、また、通帳の写しや不動産の登記簿を合綴して作成することも可能になりました。
つまり、本文に「私は,別紙1の預貯金を,次男〇〇に相続させる。」と自筆で特定し、別紙1として、通帳の写しや目録を添付することで容易に財産の特定ができるようになり、自署しなければならない本文が随分と減少しました。

令和2年7月10日より、自筆証書遺言を、公的機関である法務局が保管する制度が創設
されます。公正証書での遺言書は、費用もかかりそうだし、躊躇する、、、という方も、自筆証書遺言を作成されてみてはいかがでしょうか。 
 当事務所では、毎月遺言書のセミナーも開催しておりますので、お気軽にご相談ください。

2020年6月16日 カテゴリ: 未分類 投稿者:みお綜合法律事務所
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