遺産相続の基礎知識

相続人発見チャート

法律によって定められた、被相続人(相続される人)の財産について「相続する権利を持つ人」のことを法定相続人といいます。法定相続人は、被相続人の親類や友人といった、被相続人と親しい人であれば誰でもなれるというものではありません。法定相続人として、被相続人の財産を相続する権利を持つ人は、民法によってその範囲と順位が決められています。遺産相続の準備を始めるにあたって、最初に取りかかることの一つが、法定相続人が誰かを確認することです。ここに用意した「法定相続人確認チャート」をご利用いただくことで、「法定相続人は誰なのか?」を簡単にチェックすることができます。

誰が法定相続人

「法定相続人確認チャート」

相続人の範囲

民法によって定められた、「相続する権利を持つ人=法定相続人」になれる人は、

  1. 被相続人の配偶者(夫から見て妻、妻から見て夫)
  2. 被相続人の子(直系卑属)
  3. 被相続人の父母(直系尊属)
  4. 被相続人の兄弟姉妹(傍系血族)
  5. 上記の立場にある人となっています。したがって、上記4つ以外の立場の人は、被相続人とどれだけ親密な関係にあっても、法定相続人として認められません。さらに、ここで注意しなければならないのは、「配偶者」についてです。被相続人と正式な婚姻関係にない「内縁の妻・夫」や「愛人」も、法定相続人として認められません。ただし、被相続人が遺言書を作成しており、上記4つの立場以外にある人について「遺産を遺贈する」としていた場合には、原則として、遺言書の内容に従って財産を取得させることができます。

相続人の順位

被相続人の配偶者(夫から見て妻、妻から見て夫)は、常に法定相続人となりますが、その他の立場の人については、法定相続人となれる順位が決まっています。

第1順位: 被相続人の子ども(養子・非嫡出子・胎児を含む)または代襲者

子どもが既に死亡しているときは、その子どもの直系卑属(子どもや孫など)が相続人となります。子どもと孫の両方がいるときは、近い世代である子どもを優先します。

第2順位:被相続人の直系尊属(父母・祖父母など)

第2順位の人は、第1順位の人がいないときに相続人になります。父母も祖父母もいるときは、近い世代である父母を優先します。

第3順位:被相続人の兄弟姉妹または代襲者

第3順位の人は、第1順位、第2順位の人がいないときに相続人になります。兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子どもが相続人になります。

関連知識

財産を相続する権利があっても、「相続をしない」という選択をすることもできます。そうすることを「相続放棄」といいます。相続放棄をした人は、「最初から相続人ではなかった」ということになります。相続放棄の手続きは、多額の借金を相続しなければならない場合や、相続争いに巻き込まれたくない場合などに利用されています。
◎詳しくは「亡くなった親に借金があることが分かったら?」をご覧ください

代襲相続とは?

法定相続人となるべき人が、被相続人よりも先に亡くなっている場合(例:親より先に子どもが死亡)や、相続人が相続権を失った場合(「相続権の欠格事由」または「相続人の廃除」に該当する場合)には、「法定相続人となるべき人の子ども」が相続人になります。この仕組みを「代襲相続」といいます。

法定相続人となるべき人が被相続人の子どもであった場合、その相続権は、被相続人から見た「孫」「ひ孫」などの下の世代に代襲されます。しかし、法定相続人となるべき人が兄弟姉妹であった場合、その相続権は、兄弟姉妹の子ども(被相続人から見た甥・姪)までに限られます。また、法定相続人となるべき父または母が亡くなっており、祖父母が健在であるといった場合、祖父母は代襲しません。

「相続権の欠格事由」と「相続人の廃除」

相続する権利を持つ人が、自らの意思によって相続権を放棄することを「相続放棄」といいますが、自らの意思とは関係なく、相続権を失ってしまう場合があります。それは「相続権の欠格事由」と「相続人の廃除」の場合です。

「相続人の欠格事由」とは?

遺言書を偽造したり、被相続人や他の相続人を故意に死亡させて刑罰を受けたりすると、相続人となる権利を失うことになります。

「相続人の廃除」とは?

生前に被相続人が、後に相続人となる「推定相続人」から暴力や侮辱などの著しい非行を受けていたような場合、被相続人は推定相続人の相続権を認めないよう、「相続人の廃除」を家庭裁判所に請求することができます。※相続人の廃除は、遺言書で請求することもできます。
◎詳しくは「財産を渡したくない相続人がいる」をご覧ください。

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