ご相談事例

自分の相続分を全て一人に譲りたいときは?:相続分の譲渡

兄一家と同居していた父が亡くなりました。相続人は、兄、私、弟です。父の世話への感謝の意味で、全ての遺産を兄に譲りたいのですが、弟が承知しません。兄に少しでも多く相続してもらうにはどうすればいいでしょうか?

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アドバイス

相続分の譲渡について

相談者が相続放棄されても、相談者の法定相続分の全てをお兄さんが取得することにはなりません。
相談者の相続放棄の結果、相続人はお兄さんと弟さんの2人になり、各々が1/2ずつ相続するので、弟さんの取得分を増やすことになってしまいます。

弟さんも、お兄さん一家に感謝して、一緒に相続放棄してくれるといいのですが、そう簡単にいかないのが相続問題のむずかしいところです。

たとえお父さんが、お兄さんに全財産をのこすという内容の遺言書をのこしていたとしても、弟さんは遺留分減殺請求をするでしょう。そうなれば、一定割合の遺産は合法的に弟さんのものになります。

ではお兄さんの取得分を増やし、遺産分割協議を早く成立させるにはどうすればいいでしょうか?

相続分の譲渡

遺産分割協議が長期化しそうな場合によく用いられる手段のひとつに、「相続分の譲渡」があります。

遺産分割のトラブルに巻き込まれたくない、他の相続人と交流がない、取り敢えず現金が必要、など色々な事情がある相続人が、遺産分割の前に、自分の相続分を他の相続人に譲渡することです。
第三者への譲渡も可能ですが、遺産分割協議の長期化を防ぐのが目的の場合が多いので、事態が複雑化する第三者への譲渡は、最近はあまり見られません。

この方法だと、相談者の相続分がそのままお兄さんに譲られますから、お兄さんの取得分は、相談者の分と合わせた1/3+1/3=2/3になります。
相続分を全て譲渡すると、譲渡した人は相続人としての地位を失い、遺産分割協議での発言権もありません。一部譲渡も可能です。

しかし、相続放棄と違い、借金などの相続債務は譲渡後も残りますから、その返済はどうするか等の話合いは前もってきちんとしておく必要があります。

手続について

・遺産分割の前に行うこと。
分割が決まってしまうと、「相続分の譲渡」にはなりません。
・他の共同相続人の承認は不要。
・他の共同相続人またはそれ以外の第三者が対象。
・有償、無償いずれでも可。
・告知は口頭でも可。

後日のトラブル回避のためや、相続登記等に必要なので、書面にしておくことをお勧めします。書式は決まっていません。
・他の相続人への通知。
必要と不要の両方の見解があります。通知するなら、全員に配達証明付き内容証明郵便で。

取戻権

第三者に譲渡した場合に限って、他の相続人の誰でもが、譲渡された相続分を取り戻すことができます。譲り受けた人の承諾は必要ありませんが、次の条件があります。

・第三者への譲渡であること。
・譲渡後1ヵ月以内であること。
・他の共同相続人全員が同意した場合でないこと。
・相続分の価額と譲渡費用を支払うこと。

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