相続 悩みの相談室

【ご相談・その12】
2018.12.17

本当に遺言書のとおりに実行されるか心配です

遺言執行者を指定しておくと、遺言書の内容がスムーズに実現できます

具体的な内容はわかりませんが、法律的に有効な遺言書でしたら基本的にそのとおりになります。ただし、①ほかの相続人の遺留分を侵害している場合、②遺言能力があったのか、本人が書いたのかなどの疑いがある場合で、相続人の誰かが調停や裁判に訴えたら、分割のやり直しになる可能性があります。また、③相続人が全員一致でほかの分け方を決めれば、そのとおりに変更できます。

遺言書で指定したとおりに確実に手続きをしたいなら、遺言書で遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。遺言執行者とは、遺言書のとおりに事務手続きをする人のこと。遺言執行者が就任すると、ほかの相続人が遺言の執行を妨げる行為ができなくなり、たとえば誰かが不動産を勝手に売却したとしても、その処分行為は無効になります。相続人全員の同意があれば指定と違う分割も可能ですが、執行者が変更をあとから認めない限り、その分割は無効です。 また遺言書があっても、相続手続きでは相続人全員の印鑑が必要となることが多いのですが、遺言執行者を指定しておけば、基本的に執行者だけで手続きができるのでスムーズです。執行者は未成年と破産者以外は誰がなってもかまいません。相続人でもいいですし、弁護士などの専門家に頼むこともできます。手続きに不安があったり、ほかの相続人と顔を合わせたくないようなときは、専門家を指定しておくのもいいですよ。
ちなみに信託銀行も遺言執行を扱っていますが、報酬額の相場は最低100万円などと決まっています。遺言執行者の報酬が高いからといって、相続人が解除することはできませんので注意してください。相続人を執行者にする場合は、遺産を最も多く相続する人を指定するのがいいでしょう。