ご相談事例

早めの準備が成功の鍵:事業承継

株式会社を経営しているAさんは、遺産相続の準備に取り掛かると同時に、息子のBさんに会社を引き継がせたいと考えています。「明日から、お前が社長だ!」の一言で片付くはずもありません…。

お困りごと解決!
弁護士からの
アドバイス

事業を引き継ぐ「事業承継」について

ここ最近「経営者は高齢化しているのに、後継者が見つからない」「相続問題が発端となり、会社が分裂してしまった」などというケースが増えています。高い技術や確かなノウハウを持っている会社が、後継者問題、相続問題が引き金となって廃業してしまうのは、経済的にも損失となり非常に悲しくもったいないことです。残念な結果を招かないためには、早めに事業承継の準備を始めることが必要です。

事業承継は数週間、数か月で完了するようなものではありません。さらに、やらなければいけない手続きはたくさんあります。手遅れになってしまう前に、弁護士と共に会社の存続とさらなる繁栄に向けて、準備を進めていきましょう。

事業承継を始める前にしておくこと

事業承継には大きく分けて3つの方法があります。

●親族内承継

子どもなどの親族へ会社を継がせる方法です。日本ではもっともオーソドックスな事業承継の手法といえるでしょう。

●従業員承継

信頼できる役員や従業員へ会社を継がせる方法です。株式を買い取ってもらうケースが多数です。

●M&A

他社へ会社を売却して経営を存続させる方法です。親族や従業員に適切な承継者がいない場合によく利用されています。

この記事では日本の中小企業の事業承継で多い「親族内承継」について、主に解説していきます。

親族を後継者にしようとする場合、最初にしておくことは「後継者候補の意思確認」です。経営者がいくら「息子を後継者に…」と考えていても、息子にその気がなければ、当然ながら話は一歩も先に進まなくなります。そのような場合、親族以外の従業員への承継や、会社の売却などを検討しなければなりません。

次に、会社の「ヒト・モノ・カネ」の動きと、経営者自身が所有している財産について把握しておく必要があります。「ヒト・モノ・カネ」の動きについては、分かっているつもりでも、もう一度確認をしておきましょう。株主構成を把握しておくことや、株式評価を行っておくことを忘れないようにしましょう。

また、経営者自身の財産を把握することは、自社の株式や事業用の資産等を、どのようにして後継者に取得させるかという大きな課題を解決する糸口となります。まずは、ここに挙げたことを足がかりに、事業承継への準備を始めましょう。

相続税がかかる財産・かからない財産

事業承継は一般的に、少なくとも数年先を見据えて準備を進めていくことが必要です。そのための道標となるのが「事業承継計画」です。それでは、事業承継計画を作成するための「3つの項目」についてお話ししましょう。

①会社の現状把握と分析

先ほどお話しした「ヒト・モノ・カネ」の動きを知ることが、事業承継計画を作成する最初のポイントになります。会社のあらゆる数値・情報・ノウハウなどを明確化し、「何となく分かっていた…」という程度の会社の状況を客観的に見つめ直して、課題の発見や今後の経営方針や経営目標の設定を行います。

②引き継ぎ計画を立てる

息子に事業を引き継がせると言っても、決意した翌日に経営者が交代するといったことは、余程の非常事態でもない限り、まずあり得ないことです。取引先や従業員への周知も必要ですし、何より、後継者の教育や資産の譲渡などの重要な手続きを行わなければなりません。今後の経営方針や経営目標に沿って、どのタイミングで、何をする必要があるのかを検討し、周到に引き継ぎ計画を立てていきましょう。

一般に未経験の後継者に事業承継させるには10年かかるともいわれますので、早めの対応と長期的な計画立案が必要です。

③計画書を作成する

引き継ぎ計画のイメージを固めたら、事業承継計画書を作成しましょう。計画書の作成は経営者が一人で行うのではなく、後継者と一緒に行いましょう。計画書の作成を後継者と一緒に行うことで、経営者と後継者が、問題意識を共有できるようになるはずです。計画書には、いつ、どのタイミングで、何をするのかということと同時に、売上高や利益といった具体的な目標数値を挙げておくことも必要です。事業承継計画書の具体例は、中小企業庁のホームーページに掲載されていますので、参考にしてみると良いでしょう。

自分たちだけで不安がある場合には、弁護士に計画書作成のサポートを依頼すると安心です。

◆中小企業庁 事業承継ガイドライン(第3版)令和4年3月改訂
「Q3 事業承継計画って、どのようなものですか?」
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/shoukei_guideline.pdf

株式や財産の分配、生前贈与について

経営者に万が一の事態が発生したとき、残された親族に財産が相続されることになります。そのような場合に、自社株式やその他の事業用資産を、複数の相続人に分配しなければならなくなったとしたら…せっかくの事業用資産が分散されることになり、後継者が会社を運営していく際に、少なからず影響を与えることになります。そのような事態を防ぐには、株式や事業用資産を後継者に集中させることが必要です。その具体的な方法、スキームとしては、下記のようなものが挙げられます。

①生前贈与の制度を活用する

生前贈与とは、文字通り、生きている間に財産を分け与えることです。経営者の存命中に相続を行うことができるため、後継者に対して確実に資産を集中させることが可能になります。生前贈与の制度を活用して資産を後継者に集中させる場合も「贈与税」が発生します。贈与税には控除の制度があるので積極的に活用しましょう。また贈与税の課税制度については「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つから選択することができます。これは、家族や財産の構成によって有利・不利がありますので、どちらが良いかを見極める必要があります。

「暦年課税制度」

暦年(1月1日~12月31日までの1年間)毎に、その年中に贈与された価額の合計に対して、贈与税が課税される制度のこと。

「相続時精算課税制度」

親(経営者)から子(後継者)への贈与について、贈与の際に軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税で清算する制度のこと。

それぞれについて、贈与者・受贈者の制限や控除額、税率、手続き方法などが異なります。また、遺留分についての注意も必要になりますので、詳しくお知りになりたい方は、弁護士にご相談ください。

②遺言書を活用する

経営者が遺言書を作成し、事業用資産を後継者である息子に集中させる旨を記載しておくことで、遺産分割協議によって相続人間で資産が分散することを防ぐことができます。ただし、こちらの場合も遺留分についての注意が必要になります。遺留分を侵害する遺言を遺すと死後に「遺留分侵害額請求」が起こってトラブルになる可能性がありますので、リスクを抑えた遺言書を作成するためには、弁護士までご相談ください。

③遺留分対策をする

事業承継では、遺留分対策が必須です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に認められる最低限の遺産取得割合です。
遺言や贈与によって遺留分を侵害すると、死後に遺留分侵害額請求が起こって大きなトラブルになってしまう可能性があります。
そうなると、後継者が高額な遺留分侵害額を払わねばならず、経営をスムーズに進められなくなるケースもみられます。
う。

遺留分対策としては、以下のような方法があります。

3-1.遺留分を侵害しないように注意する」

後継者へ遺言や贈与を行っても他の相続人へ最低限、遺留分に相当する資産を遺し、遺留分を侵害しないようにすれば遺留分トラブルは起こりません。

3-2.生命保険を活用

後継者へ死亡保険金を受け取らせると、後継者が受け取った保険金から遺留分侵害額を払って遺留分問題をスムーズに解決できます。

死亡保険金は遺産の範囲に入らないので遺産分割の対象にもならず、遺留分侵害額の計算根拠にも入りません。

3-3.遺留分に関する民法の特例を利用

事業承継では、遺留分に関する民法の特例を利用できるケースがあります。
これは、生前に推定相続人との間で遺留分に関する合意を行える特例です。

会社株式や事業用財産を遺留分の対象から外せるので、後継者へ高額な株式や事業用財産を受け継がせても遺留分トラブルが生じません。

ただし適用するには条件があり、経済産業大臣から確認を受けたうえで、家庭裁判所で許可を受けなければなりません。 遺留分対策としては極めて有効ですが手続きが複雑なので、弁護士に任せるのがよいでしょう。

④家族信託を活用する

家族信託とは、信頼できる家族に財産を管理処分してもらう信託契約です。
会社株式を後継者に信託するといきなり全部の権限を移譲するのではなく「仮の事業承継」をできるメリットがあります。後継者へ株式を委託しても先代に指図権を残せるので「様子見」ができますし、後継者として不適任な場合には信託契約を解約して別の後継者を探せます。
信託契約も事業承継に役立つので、状況に応じて利用しましょう。

⑤会社法を活用する

平成18年に施行された「会社法」の制度を活用することで、資産を後継者に集中させることが可能になります。

・分散してしまった株式の買い取り

株式の買い取りは、経営者または後継者個人だけでなく、会社による取得も可能になります。

・株式譲渡制限条項の設置

株式譲渡制限条項を設置することで、会社から見て好ましくない人物に対して、自社株の譲渡・売却を制限することができます。

・相続人への売渡請求条項の設置

相続人への売渡譲請求条項を設置することで、会社から見て好ましくない相続人が株式を相続した場合、その相続人に対して、自社株の売渡請求をすることができます。

・議決権制限株式を発行する

株主総会での特定の議決権が制限された株式を発行し、それを後継者以外の相続人に相続させることで、後継者に議決権を集中させることができます。

・拒否権付種類株式(黄金株)を発行する

株主総会による特定の決定事項への拒否権が認められる株式が「拒否権付種類株式(黄金株)」です。
経営者が黄金株を一定の期間保持しておけば、後継者の経営に対して力を維持することができます。

そのほかにも、いくつかの方法がありますので、確実に事業用資産を後継者に集中させたい場合は、弁護士にご相談ください。会社にとってのベストな方法をご提案します。

相続の疑問・不満の無料相談
具体的な解決策がすぐに分かる場合もあります

初回無料相談でわかること

  • 相続手続の方法
  • 問題解決の糸口
  • もめるポイント
  • 弁護士委任費用の御見積
  • 解決までのスケジュール 

弁護士による説明が
「わかりやすい」
ご好評をいただいています

ご家族にマイナスの相続をさせないために・・・会社の破産・精算をお考えの方は

会社の経営が危機に瀕して、倒産は免れそうもない。だったら、元気なうちにキレイに会社をたたんで、相続人が債務やトラブルを抱え込まないようにしておきたいとお考えの経営者様に、御社の状況に合ったご提案、サポートをさせていただいています。お気軽にご相談ください。


ご予約・お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

0120-7867-30
平日9:00-17:30

インターネットからの受付

365日・24時間受付

事務所案内

大阪梅田・京都駅前・神戸(三宮)、お近くの事務所でご相談いただけます。
大阪事務所
  • 〒530-8501 大阪市北区梅田3丁目1番3号ノースゲートビルオフィスタワー14階
  • TEL:06-6348-3055
    FAX:06-6348-3056
  • 執務時間
    月~金曜日/9:00~20:00
    土曜日/9:00~18:00
京都駅前事務所
  • 〒600-8216 京都府京都市下京区烏丸通七条下ル東塩小路町735-1 京阪京都ビル4階
  • TEL:075-353-9901
    FAX:075-353-9911
  • 執務時間
    月~土曜日/9:30~18:00
神戸支店
  • 〒651-0086 兵庫県神戸市中央区磯上通8丁目3番10号 井門三宮ビル10階
  • TEL:078-242-3041
    FAX:078-242-3042
  • 執務時間
    月~金曜日/9:30~18:00
お電話でのご相談予約は
受付時間
月曜〜土曜/9:00〜17:30
0120-7867-30
※ケータイ電話からも通話無料