「死んだらあげる」の約束は認められる?:死因贈与
姉が所有する土地で花や野菜を育てていた妹のAさんでしたが、姉は亡くなってしまいました。Aさんは「私の死後、この土地はあなたにあげる」という、生前の姉の言葉を「遺言」と考えていますが…。
アドバイス
死因贈与について
被相続人の「あなたにあげる」という言葉が問題になることは、遺産相続の場面ではよくあることです。
このケースのような、被相続人が生前に発した「私の死後、あなたにあげる」という言葉は、結論から言えば遺言にはあたりません。遺言は書面で残さないと法律上の要件をみたさず、「口約束」では遺言と認められないからです。
ただし、このような被相続人の言葉は「単なる口約束」であって、全く無意味かといえば、そうではありません。被相続人は「贈与の意思を示した」ということになるのです。「私の死後、あなたにあげる」という言葉を受けて受贈者も合意すれば、死を原因として効果が発生する贈与契約が成立します。これを「死因贈与」といいます。
死因贈与が認められるための条件
しかし、「被相続人がそう言っていたから…」と主張するだけで、証拠がなければ、死因贈与契約があったと認められにくいと言えます。
死因贈与の契約書
死因贈与の有効な証拠となるのが契約書です。被相続人の生前に贈与者と受贈者との間できちんと死因贈与契約書を取り交わしておきましょう。親族同士であっても、死因贈与を行うなら書面で死因贈与契約書を作成し、お互いに署名押印して保管し続けるべきです。
契約書がなくてもメールや手紙などのやり取りの記録が証拠になる可能性もあります。
また、生前の被相続人から「あなたにあげる」と言われていたと主張する本人のほかに、実際にそれを見聞きしていた証人がいると、死因贈与の証明に役立つ可能性があります。
親族や近所の人などでも証人になれますが、受贈者と立場の近い人の証言には信用性が認められにくい傾向があります。
相続人が納得すれば証拠は不要
相続人が納得すれば証拠は不要
死因贈与の契約書がなくても、相続人全員が死因贈与契約に納得して遺産を譲ってくれれば死因贈与契約の内容を実現できます。
死因贈与契約と遺言書の違い
結局のところ、遺言は書面で作成することが必須ですし、死因贈与も契約書を残しておいた方が良いとなると、どちらも違いがないように思えるかもしれません。
大きな違いは、遺言は「遺言者の単独行為」、死因贈与契約は「贈与者と受贈者双方の合意による契約行為」である点です。
そのため、死因贈与契約書を作成する場合には、財産を贈る人と受け取る人両方の捺印が必要です。これに対し、遺言の場合ですと、遺言者(被相続人)の意思によって、財産を特定の誰かに相続させるという一方的な手続きとなるので、遺言者が単独で作成します。相続人側の合意や署名押印は不要です。
そのほか、死因贈与は契約の一つなので「負担付贈与」と言って、たとえば生前の介護や、死後のペットの世話などを条件にした契約をすることができます。このようなことは遺言ではできません。
また、遺言は死ぬまでいつまでも遺言者が撤回可能ですが、上記のような「負担付死因贈与」の場合は、受贈者が生前に負担を履行した場合には、原則撤回できないことになります。
細かなことですが、不動産を承継する場合の登録免許税は,遺言(遺贈)と死因贈与とで違うという要素もあります。
死因贈与で得られるメリット
上記のとおり、「条件付き」で贈与ができるのが死因贈与の大きなメリットの一つです。
また、死因贈与契約であれば、契約書さえしっかり作成していれば無効になるリスクは低減されます。受贈者であるBさんが契約書を保管し、その契約書に基づいて主張すれば、遺言と違って発見されないリスクもなくなるでしょう。
なお遺言によって財産を取得した場合でも死因贈与で財産を取得した場合でも、受遺者や受贈者には相続税が発生します。死因贈与は「贈与」の一種ですが、贈与税ではなく相続税課税の対象となるので間違えないように注意しましょう。
相続税には期限があり、相続開始後10か月以内に申告と納税をしなければなりません。早めに準備をして遅れないように支払いを済ませましょう。
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