遺産相続の基礎知識

遺留分侵害額請求の手続き

遺産を少ししかもらえなかったら・・・権利が消滅する前に、請求の手続き開始を!

自分の財産を誰にどれだけのこすかは個人の自由ですし、遺言書の内容は、法定相続人の相続権より優先されます。しかし、生活の安定まで損なわれるといった相続人の不利益を防ぐために、一定範囲の相続人(遺留分権者)が、一定の割合(遺留分の割合)の遺産を受け取ることを保証する、遺留分という制度が設けられています。 遺留分権者には、「遺留分侵害額請求」の手続きをして、遺留分の返還を請求する権利があります。

1.手続きは期限内に

遺留分侵害額請求は、「相続開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時」から1年以内に手続きをとらないと、時効消滅と言って、請求の権利が消えてしまいます(相続の開始から10年経過した場合にも権利行使ができなくなります)。 自分の相続分が少ないと思われるなど、遺言書の内容に疑問や不満がある場合は、遺留分減殺の意思表示(通常は内容証明郵便)をするべきかどうか、早めに専門家に相談することをお勧めします。

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2.手続きの流れ

  1. 被相続人の死亡から1年以内、または、減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ってから一年以内であることを確認します。
    請求権が時効消滅していると請求できません。
  2. 「遺留分侵害額請求通知書」を内容証明郵便で発送します。
    遺留分侵害額請求権を期限内に行使したことを、明確にしておきます。
  3. 解決方法の選択と実行。
    当事者による話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをします。それでも解決できなかった場合には、地方裁判所に対して民事訴訟による裁判になります(裁判は1〜2年かかることが多いようです)。 請求するためには、遺産がどこにどれくらいあるか等の調査や、遺留分の割合の確認が必要で、手間と時間がかかり、専門家でないとむずかしい場合もあります。裁判になれば弁護士への依頼も必要になってきます。

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3.事前準備

1 遺留分権利者(遺留分を請求できる人)の確定

<配偶者><子(胎児も)><子の代襲相続人><直系尊属(父母・祖父母)>が権利者です。 亡くなった方の除籍謄本と相続人の戸籍謄本をとります。
配偶者・子
兄弟姉妹を除く法定相続人。養子も。
胎児
生まれると、子として遺留分が認められます。
代襲相続人
子供が亡くなっている場合にその子(亡くなった方の孫、場合によってはひ孫)
直系尊属
父母が亡くなっている場合には、祖父母 兄弟姉妹や、相続欠格・相続放棄・相続廃除者は請求できません。

2 遺留分の割合の確認

1 の結果をもとに遺留分の割合の計算をします。 遺留分の割合には、総体的遺留分と個別的遺留分があります。
総体的遺留分
遺留分権利者が相続財産全体に対して有する、遺留分の割合。
直系尊属のみが相続人である場合・・・1/3 その他の場合・・・1/2
たとえば、相続人が 妻のみの場合・・・・1/2 子のみの場合・・・・1/2 配偶者と子の場合・・1/2 母のみの場合・・・・1/3 となります。
個別的遺留分
遺留分権利者が2人以上いる場合の、各人が有する遺留分の割合。総体的遺留分が法定相続分に従って分配されます。 たとえば、相続人が妻と子2人の場合の個別的遺留分は 妻・・・1/2(総体的遺留分)×1/2(法定相続分)=1/4 子・・・1/2(総体的遺留分)×1/2×1/2(法定相続分)=1/8 となります。

3 遺留分の対象になる財産の調査・確定

遺留分算定の基礎になる財産(a)〜(c)を調査し、下記の式で計算します。
{(a)+(b)−(c)}×(d)−(e)=遺留分の対象になる財産{ }内が遺留分算定の基礎となる財産
  • (a) 亡くなった時の財産
    不動産、預貯金、株式、動産、保険等を調査し、評価します。
  • (b) 贈与した財産
    ・遺贈
    相続開始時に有していた財産に含まれます。
    ・死因贈与
    死因贈与は遺贈と同じく取り扱うべきというのが多数説です。
    ・生前贈与
    相続開始前の1年間にした贈与、及び、それより前であっても当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与であれば、相続開始の時に有していた財産に含まれます。
  • (c) 債務額
    債務には、私法上の債務のほか、公法上の債務(公租公課、罰金等)も含まれます。 なお、相続財産の負担となるべき費用、例えば相続財産に関する費用(相続税、相続財産管理費用等)、遺言執行に関する費用(険認申請費用等)は、控除すべき債務に含まれないとされています。
  • (d) 遺留分権利者の遺留分割合
  • (e) 遺留分権利者が既に受けている特別受益財産
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