ご相談事例

臨終間際に遺言を作成する方法があります:特別方式の遺言

夫が突然倒れ、生死の境を彷徨っています。夫はまだ若く、健康だったので、遺言を準備していません。もう身動きは取れませんが、意識がある間に遺言を遺したいと言っています。何か方法はありますか?

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特別方式の遺言について

当サイトの最初のテーマとして取り上げた「遺言書を作る前に知っておきたい4つのポイント」では、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という3つの遺言の種類をご紹介しました。前述の3つの遺言は、民法で「普通方式」の遺言とされています。ご相談のケースのように、じっくりと遺言を作成することが困難な状況に遭遇することもあります。そのような場面で作成される遺言を「特別方式」の遺言といいます。特別方式の遺言には4種類ありますが、いずれも利用されるケースは滅多にありません。とはいえ、遺言は「万が一への備え」ですので、覚えておかれると良いでしょう。

臨終間際には「一般危急時遺言」

ご相談のケースのように、ケガや病気などの何らかの理由によって、死期が迫っている方に利用されるのが「一般危急時遺言」です。危急=危険や災難が差し迫っていることという意味ですから、一般危急時遺言は、まさに「生命の危機」というべき状態でのみ認められます。ただし、「生命の危機」かどうかについては、医師の診断などの必要はなく、遺言者の主観などによって判断することも可能です。
一般危急時遺言を遺すためには、3人以上の証人が立ち会うことが条件です。ただし、誰でも証人になれるわけではありません。

民法第974条:次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
1.未成年者
2.推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
3.公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人
※これらは次に解説する「その他の特別方式の遺言」にも適用されます

上記の欠格者を除く3人以上の証人が揃ったら、遺言者はそのうちの1人に遺言の趣旨を口授します。口授を受けた証人は、遺言の趣旨を筆記します。このとき、一言一句、遺言者の口授の通りに筆記する必要はありません。筆記した内容については、遺言者とその他の証人の前で読み上げたり、閲覧させたりするなどして、間違いがないか確認を取ります。内容が正しければ、筆記した紙に証人全員の署名・押印をします。遺言者による署名・押印や日付の記載は不要です。
ここで重要なのは、遺言者の確認や証人全員の署名・押印があっても、その遺言に効力は発生していないということです。一般危急時遺言に効力を発生させるためには、家庭裁判所の確認が必要ですので、遺言のあった日から20日以内に、証人の1人または利害関係者は、家庭裁判所に内容確認の請求を行います。遺言者が亡くなった後には、再び家庭裁判所に出向いて、検認手続きを受ける必要があります。
なお、遺言者の容態が好転し、普通方式の遺言を遺せるようになってから6ヶ月が経過すれば、作成した一般危急時遺言は無効になります。

その他の特別方式の遺言

その他の特別方式の遺言としては、「難船危急時遺言」「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」があります。一般的なものではありませんが、万が一の事態に備えて、内容を確認しておきましょう。

「難船危急時遺言」

遺言者が乗船している船舶が遭難するなどして、生命の危険がある場合に認められる遺言の方法です。難船危急時遺言は、飛行機が遭難した場合にも認められます。この場合、2名以上の証人が必要で、証人が遺言者の口授を受けて遺言の趣旨を筆記。署名・押印をします。効力の発生には、一般危急時遺言と同様に、家庭裁判所での内容確認、検認手続きが必要です。

「一般隔絶地遺言」

隔絶地=一般社会から離れた場所にいる場合に認められる遺言の方法です。伝染病にかかって病院に隔離されている場合、災害の被災地にいる場合、刑務所で服役している場合などに利用できます。この場合、警察官1名と1名以上の証人が必要となります。特別方式の遺言ではありますが、遺言書は遺言者が作成します。遺言者、筆者、警察官、証人が署名・押印をします。家庭裁判所での内容確認は不要ですが、検認手続きは必要です。

「船舶隔絶地遺言」

船舶に乗船している際に遺言を作成する場合の遺言の方法です。遠洋漁業の漁船やタンカー、貨物船などに乗船している場合や、船旅に出ている場合などに利用されます。なお、難船危急時遺言とは異なり、飛行機の搭乗時には利用できません。この場合、船長または事務員1名と、2人以上の証人が必要となります。遺言書は遺言者が作成します。遺言者、筆者、立会人および証人が署名・押印をします。家庭裁判所での内容確認は不要ですが、検認手続きは必要です。

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