相続 悩みの相談室

【ご相談・その2】
2018.11.7

最近亡くなった親と同居していた妹が、相続財産を使っている気がするのですが…

預金は「取引履歴」、不動産は「登記簿」で確認してみましょう

家の中にある現金を隠されてしまうと、探しようがないですね。しかし、親御さんが取り引きをしていた金融機関や証券会社に取り引きの記録を開示してもらい、不自然な出金があれば、それをもとに妹さんに使途を追及できます。入院中に多額の出金がされているケースもよくあります。

親御さんが亡くなったことを金融機関が知らなければ、キャッシュカードなどを握っている妹さんがお金を引き出すことが可能です。妹さんに不信感があるのなら、金融機関に親御さんが亡くなったことを伝えて口座を凍結してもらいましょう。
口座が凍結されたあとに預金を下ろすには、結構面倒な手続きが必要です。現在は、まだ親御さんの遺産分割前でしょうか。遺言書はありましたか。ない場合は法定相続になるので、基本的に不動産の売却、預金の引き出しなどの相続手続きをするには、相続人全員の実印を押した書類に、印鑑証明書をつけることが必要です。
たとえば銀行の場合、その銀行にもよりますが、「相続届」などの書類に署名押印して提出する場合がほとんど。ですから遺言書があっても、「全財産を妹に相続させる」という遺言書がない限り、ひとりで勝手に手続きはできないと思いますよ。

しかし、親御さんが元気なうちに多額の出金がある場合が一番厄介です。一緒に暮らしていた妹さんにお金が流れているはずだといっても、裁判所では証拠が必要です。このような使途不明金については、特定の誰かに流れたことが証明できない限り、いくら騒いでも無駄になることが多いのです。私が以前、担当した事件では、銀行から出金伝票や振込伝票などをすべて取り寄せて、筆跡まで調べたことがありますが、とても大変でした。

ちなみに不動産の場合は、売却する前に名義変更(相続登記)をしなければならないので、預金と同じく「全財産を相続させる」という遺言書がなければ、勝手に売却するのは難しいでしょう。ただし法定相続による登記は単独でできるので、不動産の共有を登記している可能性はあります。登記しているかどうかは、法務局で不動産登記事項証明書をとって調べることができます(誰でも取得できます)。くわしくは法務局に問い合わせを。