土地の名義がまだ祖父のままなのですが、変更しなくても大丈夫ですか?
地方では今でも、土地の名義がずっと前に亡くなった祖父のままというケースがよく見られます。不動産の名義変更をするには相続登記をしなくてはならず、手数料もかかるので、ついそのままにしていることが多いようですね。じつは登記には、いつまでにしなければならないという期限はありません。しかし登記をしないままに次の世代や、さらにその次にまで世代交代が進んでいると、その不動産を相続する権利をもつ人がかなりふえてしまい、トラブルになる危険性が高まります。
そもそも相続登記には「遺産分割による登記」「法定相続による登記」「遺言による登記」という、3つの代表的なパターンがあります。遺産分割パターンで登記するなら、遺産分割協議書が必要になります。法定相続パターンでは協議書は不要ですが、法定相続分でしか分割できません。遺言パターンは文字どおり遺言書がある場合のみ可能です。つまり法定相続分を超えて不動産を相続する場合は、遺言書または遺産分割協議書が必要になるのです。もしひとりで土地を相続して名義変更(相続登記)をしたいなら、相続人全員の同意をとらなければなりません。しかし世代交代が進んで関係が遠くなれば、連絡を取り合ったり、必要書類や同意をもらったりすることも難しくなるでしょう。また、離れた世代から相続するとなると、取得しなければならない戸籍もふえますし、古い戸籍になると廃棄・改製、災害による消失などもあり、取り寄せるのが大変です。
売却するにも、まず相続登記をしないことには売却できません。買い手がついても登記ができず、売れないのでは困ってしまいますね。
さらに不動産の名義が故人のままということは、とても無防備な状態です。法定相続による登記をしたあと、持ち分の譲渡や抵当権の設定が単独でできるので、いつの間にか兄弟に共有名義にされていた、などということもありえます。長い間放置していれば、誰かに法定相続による登記をされても気づきません。
このように、登記をしないまま不動産を放置するのは危険がいっぱいです。名義変更はできるだけ早く行いましょう。