相続 悩みの相談室

【ご相談・その8】
2018.12.3

財産が自宅しかなくて、兄弟で分割できません

生前に遺言書などで対策を立てておくのが最善策です

相続人が複数いて、目ぼしい財産が自宅しかないなら、家を相続しない相続人には、基本的にお金を払うしかありません。預金がないのに、ほかの相続人にお金を払わなければならないとなると、本当に困ってしまいますね。お金が払えず、住み慣れた自宅を泣く泣く売却することもあると聞きます。そうならないためには、やはり生前に対策を立てておくことです。親御さんに対策を立ててもらうよう、今から頼んでおきましょう。

対策として一番おすすめなのは、家を持っている人(親御さん)に生命保険をかけておいてもらうこと。死亡保険金は民法上の相続財産にならないので(一部を除いて相続税の対象にはなります)、家を相続する子供を受取人にしておけば、もう一方の子供に、そのお金で相続分を代償金として支払うことができます。
なお、家を相続しない子供を受取人にすると、保険金を受け取っても「保険金は相続財産ではないから、やっぱり家を等分に」などと言い出す可能性もないとはいえませんから、 そこは慎重に。

また、生前に遺言書をつくっておけば、5年間に限り、遺産分割の禁止を定めることもできます。遺産分割の禁止は、相続人の全部または一部に対して、相続財産の全部または一部の分割を禁止するというもの。最長でも5年間しかできませんが、その間にお金を貯めるなど何か対策がとれるかもしれません。また、生前対策はできなかったとしても、相続人が親子兄弟で仲がよいのであれば、とりあえず共有にして保留する選択肢もあるかもしれませんね。ただし、これはあくまでもとりあえずの措置であることをお忘れなく。月日がたつとそれぞれの事情も変わります。共有物件の処分には全員の合意が必要となりますので、のちのち処理に困ることにもなりかねません。

そういった対策をとることができず、代償金しか選択肢がなくて支払えない状況なら、できるだけ分割払いや繰り延ばしをしてもらえないかをお願いしてみましょう。お困りでしたら弁護士に相談してみてください。